サービスページに「できないこと」を書いているサービスを、見たことがありますか。
ほとんどありません。普通はできることだけを並べます。強みをアピールします。できないことは、聞かれたら答える。それが一般的な方法です。
結論から言います。私は最初から「やらないこと」を明示します。これは誠実さのためだけではありません。依頼者の時間を守り、後からのトラブルを防ぎ、自分の等身大を守るための設計です。
この記事では、なぜ最初に「できないこと」を書くのか、その判断の根拠を話します。
やらないことの一覧|最初に明示する内容
ECサイトの構築はやりません。
予約システムの導入はやりません。
ロゴ・グラフィックデザインはやりません。
メール設定はやりません。
100ページを超える大規模サイトはやりません。
これらは、このサービスのページに最初から書いています。
なぜ最初に言うのか|3つの理由
理由1:依頼者の時間を守るため
「ECサイトを作りたい」という方が、このサイトを読んでいる時間は無駄です。
最初に「ECサイトはやりません」と書いてあれば、その方はすぐに他のサービスを探せます。合わないサービスに時間をかけることを防げます。
条件に合う方だけが先に進む。これは双方にとって合理的です。
理由2:後からのトラブルを防ぐため
「やってみたができませんでした」は、依頼者にとって最悪の結果です。
費用を払い、時間をかけ、途中まで進んだあとで「実は対応できません」と言われる。これはトラブルであり、信頼の喪失です。
できないことをできると言う怖さを、実体験から知っています。だから最初に言います。
理由3:自分の等身大を守るため
背伸びして受けた仕事は、品質が落ちます。
ECサイトには、個人情報の取り扱い・決済システムのセキュリティ・在庫管理との連携など、私の専門外の領域が含まれます。この範囲を超えた仕事を受けることは、依頼者に対して誠実ではありません。
得意なことに集中することで、その品質は上がります。やらないことを決めることは、やることの品質を守ることでもあります。
透明マーケティングとは何か
含まれることを全部見せる
透明マーケティングとは、サービスに含まれること・含まれないことを、最初から全部見えるようにすることです。
制作費の内訳。対応できる範囲とできない範囲。契約後に追加費用が発生するケース。これらを最初のページに書いておきます。
「言った・言わない」が起きない。「こんなはずじゃなかった」が起きない。そのための設計です。
隠れた条件をなくす
「基本料金〇〇円〜」と書いてあるサービスで、実際には「〜」の部分が数倍の費用になることがあります。
最初のページで「〜」の部分が何なのかを明示しておくことが、透明マーケティングの実践です。
断ることは信頼の一形態
合わない仕事を断ることが信頼を作る
「断る=機会を失う」という考え方があります。
ただ、合わない依頼を受け続けることは、お互いにとって良くない結果を生みます。
依頼者は「思っていたものと違う」と感じます。制作者は「自分の力量を超えた仕事に追われる」状態になります。どちらにとっても損です。
自分の範囲を守ることが、最終的に信頼される仕事につながります。
「ここでないならここへ」を伝える
やらないことを伝えるとき、できれば代替の案内をします。
「ECサイトはやりません。Shopifyの専門業者に相談することをお勧めします」
「ロゴ制作はやりません。デザイナーに依頼してください」
断るだけでなく、次の選択肢を渡すことで、依頼者の問題解決に貢献できます。
実害から来た「やらない」の判断
ECサイトをやらない理由
ECサイトには次の要素が含まれます。
個人情報(氏名・住所・クレジットカード情報)の取り扱い。
決済システムのセキュリティ確保。
PCI DSSなどの規格への対応。
これらは、WordPressの構築技術とは別の専門知識が必要です。私の等身大を超えます。できないことをできると言うことの怖さを知っているから、やらないと決めています。
やらないことを決めることが設計
やらないことを決めることは、ネガティブな選択ではありません。
やることの範囲を明確にする、積極的な設計の一部です。「これとこれはやる。これはやらない」という境界線を最初に引くことで、依頼者も制作者も、何が提供されるのかを明確に理解できます。
まとめ|最初に明示することが信頼の基盤になる
この記事の内容を整理します。
できないことを最初に明示する理由は3つです。
- 依頼者の時間を守るため(合わない方をすぐに次へ案内できる)
- 後からのトラブルを防ぐため(「やってみたができなかった」を避ける)
- 自分の等身大を守るため(得意なことに集中することで品質を維持する)
「どこかに書いてある何でもできます」より、「ここに書いてあるこれだけやります」の方が、本当に必要な方に届きます。

